135~300倍に効果が上がる抗がん新薬

子宮頚がん治療の効果が既存抗がん剤の135倍という新薬の開発が進んでいる。

子宮頚がんや神経芽腫細胞のがん細胞が増殖する仕組みは、徐々に明らかにされつつあり、LSD1(ヒストン脱メチル化酵素)という酵素が大きな原因と分かっている。 子宮頸がん新薬は、このLSD1を標的としてがん細胞の増殖を抑制する。

このLSD1を標的とした抗がん治療は、抗うつ薬として臨床で使われているトラニルシプロミンという薬が有効であることは既知だった。 子宮頸がん新薬は、トラニルシプロミンをLSD1だけに輸送して結合させるドラッグデリバリ型分子(DDM)の「NCD33」を作製したのだ。

このNCD33によるがん治療では、既存薬のトラニルシプロミンに比べて、非常に高い抗がん治療効果が確認された。

子宮頚がん新薬のNCD33は、実験ではLSD1だけを阻害できることが示された。そして、培養したがん細胞に対して、 子宮頚がん細胞の増殖をトラニルシプロミンより135倍以上強く抑え、かつ、神経芽腫細胞に関しては、300倍も強くがん細胞の増殖を抑えたのだ。

今後は、早急に動物実験で安全性と効果を確かめ、人体への臨床試験を模索する予定。

子宮頚がん新薬のNCD33は、京都府立医科大が開発し、その開発研究の成果がドイツ科学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。

すい臓がんをリアルタイムで自動追尾治療

がん放射線治療の際に呼吸で動いてしまう臓器のがんを動くがんの位置をリアルタイムで正確に捉えつつ、放射線をピンポイントで照射できる世界初の治療機器が開発された。

副作用を減らせる最新放射線治療機器は、ベッド型でがんの動きを捉えて追尾できるカメラと「ジンバル」という放射線照射機能を備えたもので、三菱重工業と京都大学の共同開発。

呼吸で動く体内の臓器の中のがんの位置をリアルタイムで捉え、放射線を正確に照射できるため、 がん周辺の正常組織への影響=副作用を減らすことができる。

既に、肺がん胃がんの治療に対しては、同じタイプの治療装置が開発済だったが、新型治療装置はさらに精度が上がったことで、治療が難しいとされる膵臓がんの治療も可能となった。

周辺組織への放射線量を軽減できる副作用が最小化できたことで、 がんを叩く放射線量がアップできる。また、治療時間が短縮できることから、がん患者の負担も大幅に軽減された。