免疫細胞を増強しつつ培養する新免疫療法とは

がん患者自身の免疫細胞を対外で増強/培養する新しいがん治療技術が開発された。

既に、がん患者から採取した免疫細胞を体外で増殖させた後にがん患者の体内へ戻すがん治療法は開発済だ。しかし、実施している一部の高額医療機関では200~300万円もの費用がかかるに もかかわらず、疲弊した免疫細胞を戻しても、十分な治療効果は得られないとさ れていた。そこで、新しい治療法では、患者本人の免疫細胞を若返らせつつ増殖培養するこ とで、治療効果を高めることを狙ったのだ。

以前の免疫細胞療法では、がん細胞との戦いが続くとキラーT細胞が疲弊してしまい、その攻撃力や増殖力が弱まってしまうことで、 弱まった免疫細胞を培養しても弱い免疫細胞しか増やせないことが問題だったのだ。

そこで新治療法では、疲弊した免疫細胞(キラーT細胞)を培養する際に、 同時に免疫細胞の発生を助ける作用のある細胞と一緒に培養することとした。 これによって、疲弊した免疫細胞(キラーT細胞)が、 外敵の情報を記憶したばかりの増殖前の状態に戻ったのだ。さらには、免疫細胞(キラーT細胞)の寿命が延び、 外敵が出現した際の増殖能力も高くなったのだった。

この新がん治療法を開発したのは、慶応大学の微生物・免疫学研究グループだ。 生物実験では、若返らせた免疫細胞(キラーT細胞)を、がん細胞(リンパ腫)が移 植されたマウスに注入した結果、がん細胞の増殖が抑えられ、生存期間が延びた ことが確認されている。

今後は、がんを外敵として認識したキラーT細胞を選択的に採取できる技術を確 立することが課題とされている。

効果が持続する胃がん新薬

胃がん、食道胃接合部がんの抗がん剤治療に供する新薬の臨床試験に関して、良好な結果であることが報告された。近い将来の新らしい特効薬へ期待が高まっている。

抗がん剤新薬は、キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)。米国のMerck社が開発し、臨床試験を実施中だ。

新薬の臨床試験は、2回以上の前治療歴のあるがん患者を対象して単独療法で実施された。結果は良好で、効果が確認されただけでなく、効果の持続も報告されている。

新薬キイトルーダは、胃がん、食道胃接合部がん だけでなく、 食道がん、大腸がんにも有望な新薬であり、それぞれに臨床試験が開始れている。

数年内に有望な抗がん剤新薬として治療に使うことができる可能性は高いと見られ、がん患者の期待は大きい。