すい臓がんの、しかもステージ4の末期のすい臓がん患者を治療できる新しい治療法の臨床試験が日本でも開始されている。
すい臓がんの新しい治療法は、『ナノナイフ治療』(別名:不可逆電気穿孔法)。
体外から がん患部へ針を刺し、針の先端に短時間だけ3000ボルトの電流を通電させる治療法だ。
治療対象のすい臓がんは周辺の胃や十二指腸などの臓器が入り組んでいることが旧来法の手術を困難にさせていた。
しかし、ナノナイフ治療では身体表面から超音波画像で探りながら、胃や十二指腸を貫通してがん患部へと針を通すのだ。がん患部に取り囲むように設置された治療針の先端に電気を短時間だけ流す。電気が流れるのは針の先端1.5cmだけで、対になったプラスの針の先端からマイナスの針の先端へ3000ボルトの高電圧で1回あたり1万分の1秒という短時間だけ電気が流される。
この通電を80回から160回行うと、がん細胞にナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の穴が開くことで、中の細胞質が溶け出しがん細胞が死ぬのだ。
既に実施された末期のすい臓がんの治療結果は8例中6例でがんが縮小する成果が得られた。
先行する米国でのナノナイフ治療は 当初は肝臓がん治療に治療されることから始まった。その後拡張されたすい臓がん治療例は200例を超えており、50例でがんが縮小し手術が可能となった。残る150例でも生存期間が2倍となる効果が確認されている。また再発率が3%と低く、すい臓にがんを留める効果(局所制御能)も確認されている。
末期のすい臓がんでも治療が可能な『ナノナイフ治療』は、日本では東京医科大学が臨床試験を進めている。
近い将来には、肝臓がん、すい臓がんの治療に留まらず、肺がんや前立腺がん、腎がんの治療へと適用対象が拡大が見込まれる。末期すい臓がんでも治療法はあるのだ。